『そして、バトンは渡された』ネタバレ感想:複雑な家庭だけど温かな関係

『そして、バトンは渡された』読書感想
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そして、バトンは渡された』(著:瀬尾まいこ)を読んだ感想です。
最近は本読んでもわざわざブログに書くことはしてなかったけど、瀬尾まいこさんの作品が好きなので久々に書くことにします。

もくじ

『そして、バトンは渡された』あらすじ

主人公の優子は幼い頃に母を亡くして、実の父が海外赴任で別れることになって、その後は継母と暮らし、さらにまた全然血の繋がりのない親たちが次々と変わる複雑な家庭で成長していく。

全部で2章の構成になっていて、第1章(前半)は高校生、2章は22歳の大人編。瀬尾まいこさんの作品は悪い奴が全然出てこないのが多いけど、これもやはり登場人物みんな良い人。

2019年に本屋大賞を受賞しましたね。

主な登場人物

『そして、バトンは渡された』の登場人物を軽く紹介しておきます。

主人公:優子

お母さんが小さい頃に亡くなってからは親がコロコロ変わって、客観的に見たら複雑すぎる家庭環境なのに、周りの人間に恵まれている。本人もそのおかげで擦れてないし成績もいいし、容姿にも恵まれているらしい女の子。ピアノが得意。タイトルの「バトン」は優子のことですね。

梨花

優子の実の父の再婚相手、つまり2番目の母(継母)。ちょっと派手な感じだけど明るくて、血の繋がりのない優子のことをすごく大切にしてくれる。割と自由人で結婚に関しても深く考えずにするタイプ。「ピアノがほしい」という優子のために再婚しちゃう。

森宮

優子の3番目の父親、37歳。梨花とは同級生で同窓会で再開し、結婚して優子の父となる。梨花とはすぐ離婚するので1人で優子を育てることになる。東大卒で一流企業に勤務していて、料理が得意。女性にはモテないらしい。優子からは「森宮さん」と呼ばれている。

早瀬くん

音大を目指しているピアノが上手い男子で少し変わり者。他のクラスだけど合唱コンクールのピアノ伴奏者メンバーとして知り合う。「早瀬くんのピアノをもっと聴きたい」と思うだけの優子はいつしか彼自身にも惹かれていく。

『そして、バトンは渡された』ネタバレ感想

420ページという中々の厚い本で、そのうち3/4ぐらいが高校生の話と過去の話。今一緒に暮らしているのは森宮さんだけど、すこしずつ過去のことが明かされていくスタイル。

一瞬、身勝手な友人トラブルでいじめに発展しそうな事案があって少しドキドキ。親には恵まれてるけど友人には恵まれてない?

優子の家庭環境の変化

  1. 水戸(実の父)&梨花
  2. 梨花
  3. 梨花&泉ヶ原
  4. 泉ヶ原
  5. 梨花&森宮
  6. 森宮

リストにすると優子の家庭環境の変化はこんな感じでしょうか?
女性(継母)は梨花だけなので、必然的に全てに絡んでますね。

ブラジルに海外赴任する旦那にはついて行かずに、血の繋がりのない娘を1人で育てると決意した梨花の強さ。

優子の人生は梨花の人間性に救われたと言ってもいいかもしれません。
場合によっては全く血の繋がりがないわけだし、最初は仲が良くてもあとで「あんたなんか引き取らなきゃよかった」と言い出すとか、施設に預けられるという展開も十分あり得ることだと思います。

そんなことは全くせず、貧乏だったけど楽しい生活をしてて、更にピアノ欲しいと言われたからってピアノ持ってる人と再婚するとか中々真似できません…。

そして、梨花の意思はこれ以降の親たちにも受け継がれ、まさにリレーのバトンのような状態に。
お金持ちの泉ヶ原さんなんて、梨花がすぐ出てったのに全然馴染んでない優子だけを家において、そんなに絡まないけど、ちゃんと見守ってるし。

森宮さんも同窓会で少し再会しただけで結婚して、これまたすぐ梨花と別れて優子だけ残って、ずっと育てるとか人間が出来すぎてる人たちばかりですごい。優子は伝説の勇者の子孫か何かなの?ってぐらい大切にされて過ごしましたね〜。

急に誰この人?って男子と付き合いだしてびっくりしたけど、早瀬君とくっついて安心。優子はモテるねぇ。

で、最後に優子を大切にするリレーのバトンは早瀬くんに渡されることになる。ずっと優子目線でストーリーが続いてきて、最後の最後で森宮さんの目線で物語が終わるの良かったです。ちょっとウルっと来ましたね。

血縁関係がなくても、それ以上に愛情深く育てられた家族の物語でほっこり。瀬尾まいこワールドって感じで悪い人がいない心温まるお話ですね。とにかく優しい人たちばかりな世界。私は森宮さんと年齢が近いので、途中から自分がもしその立場になったらどうするかって目線で見てました。

ちょっとイマイチなところ

  • 個人的には梨花が水戸さん(優子の実の父)から来た手紙を見せなかったのが微妙かなって思いました。
    手紙なんて来てないと嘘までついて。それだけ優子のことを気に入ってたんでしょうけど、お父さんブラジルにもついて来てもらえなかったし、ちょっと可哀想かな。
    でも、そのおかげで梨花と優子の深い関係が成り立つことになるから、結果オーライと言えばそうなんだけど。
  • 最後に森宮さん目線になってたけど、優子だけじゃなく親側の目線で語られるパートがもう少し合っても良かったような気もします。半々は行き過ぎだけど7:3ぐらいで。
  • 少し長めかなと思いました。一番最初に言いましたが私は瀬尾まいこさん好きです。今作もほっこり温かな読後感で良いけど、でももう少し短めにまとめても良かったような?淡々とした日常系の話は好きな方だけど、悪く言えば少し間延びした感じに思えてしまいました。

別の作品だけど…

『夜明けのすべて』もおすすめです。もし読んでなければこちらもぜひに〜。パニック障害の男子とPMSに悩む女子のやり取りがすごく良い。今の所、瀬尾まいこさんの中で一番好きな作品です。その次は『図書館の神様』。

映画も楽しみ

映画になるとどんな風になるのか楽しみです。
優子が永野芽郁で、森宮さんが田中圭、梨花が石原さとみかぁ。永野芽郁さんは何となくおっちょこちょいみたいな役が多い印象があるせいか、イメージがちょっと違うかも?
原作に忠実に沿ったストーリーにするのか、映画オリジナルの展開も加えてくるのか?期待してます。

『そして、バトンは渡された』読書感想

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